1/ 3
http://www.jcr.co.jp
15- I- 0070 201 6 年 2 月 1 7 日
株式会社日本格付研究所(J C R)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
シ
ン
ガ
ポ
ー
ル
共和国
(証券コード:−)【据置】
外貨建長期発行体格付 AAA
格付の見通し 安定的
自国通貨建長期発行体格付 AAA
格付の見通し 安定的
■ 格付事由
(1) シンガポール共和国の格付は、良好な事業環境、集積した対内直接投資(F DI)、東南アジアのハブとし ての地位、堅固な対外ポジション、健全で柔軟性の高い財政構造に支えられている。格付の見通しは安定 的である。実質 GDP 成長率は、開放経済ゆえに世界経済環境の変化の影響を受けやすい。アジア貿易の 減速や原油の国際価格下落によるインフレ見通しの下方修正に伴い、実質 GDP 成長率は13 年の4. 4%か ら 14 年には 2. 9%に低下、15 年はさらに 2. 1%まで減速した。これに対し政府は 15 年 1 月と 10 月の 2 回、 貿易シェアで計算される為替レートの政策バンドの傾きを調整して金融緩和を実施、財政政策も 15 年 2 月に発表された15 年度予算では支出を拡大し GDP 比で 1. 7%の赤字を想定するなど、景気テコ入れを行 うスタンスを明確にし、16 年は景気底入れが期待されている。J C R は、景気の先行きと政府の政策対応 の効果を注視してゆく。
(2) シンガポールは東京 23区に匹敵する面積に、554万人(うち外国人 160 万人)の人口を擁する都市国家。 1965 年の独立以来、政府は、社会資本や人的資本、税制優遇といった投資環境整備に努め、海外からの 直接投資を積極的に誘致してきた。近年では、従来から発展してきた製造業に加え、東南アジアの金融・ 物流のハブとして、金融・サービス分野での投資が拡大。一人あたりの GDP が 5万米ドルを超える。15 年 9 月に実施された総選挙では与党が圧勝し、国内政治は安定している。同国は、国土面で制約がある上、 近年人口高齢化が進行する一方で外国人労働者流入を制限せざるを得ない状況に直面しており、経済成長 の維持には、生産性の継続的な改善や、産業構造の一層の高度化が課題となっている。15 年 10 月に発足 した第 4 次リーシェンロン内閣は、財務相を委員長とする「未来経済委員会(C F E )」を設置し、産業の 成長戦略、イノベーション、雇用、インフラ、コネクティビティの 5分野について 16年末までに経済戦 略の見直しを行うことを表明している。J C Rは、政府の経済戦略の見直し内容とその実施について注視し てゆく。
(3) 財政面では、憲法で事実上「政権任期中の財政均衡」という厳しい財政規律を課していることもあり、政 府は極めて保守的な財政運営を行ってきており、財政剰余金が大きく積み上がっている。社会保障も国の 関与を限定的にとどめる一方、企業・個人の租税負担も低く抑えており、歳出入規模は GDP 比 14- 15% 程度と小さい。積み上げられた財政剰余金は世界で分散投資されており、その利用は憲法で厳しく制限さ れている。同国の公的債務残高は GDP 比 100%を超えるが、国債は国内債券市場育成と年金基金への運 用手段への提供のために発行するものと位置づけられ、債券発行代わり金は全額投資に充当される。こう した健全な財政構造の維持により、柔軟かつ機動的な財政政策運営が可能となっていると評価できる。 (4) 対外面では、従来より、競争力の強い製造業に支えられ、GDP 比 20%前後の経常収支黒字を維持してき
2/ 3
http://www.jcr.co.jp
み上がっている。15 年末の A SE A N 経済共同体の発足でアジアにおける経済統合の加速の期待が高まる中、 政府は銀行や資本市場の統合にも積極的に取り組んでいる。またシンガポールは 06年 5月に発行した環 太平洋戦略的経済連携協定の原参加 4ヵ国のひとつであり、16 年 2月に署名された環太平洋パートナー シップ協定(T PP)により経済連携協定への参加国が日米を含む 12 ヵ国に拡大することにより、シンガ ポールの地域ハブとしての役割がさらに拡大する効果が期待できる。J C Rはこれらの地域統合の動きに対 応して、シンガポール政府がどのようなイニシアチブを発揮するのか、注視してゆく。
(5) シンガポールでは 06 年以降、不動産価格が大きく上昇した。リーマンショック後の金融緩和環境の下で、 国内の銀行システムは住宅ローンを中心に貸付を急増させ、預貸率も上昇した。当局が積極的にマクロプ ルーデンシャル規制を活用したこともあり、足元では、不動産市況並びに銀行貸出の伸びは鎮静化してい る。家計・銀行・企業のバランスシートはいずれも総じて健全に維持されており、ストレスに対する強い 耐性を有している。
(担当)増田 篤・田村 喜彦 ■格付対象
発行体:シンガポール共和国 (R epublic of S ingapore) 【据置】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 AAA 安定的
自国通貨建長期発行体格付 AAA 安定的
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2016 年 2 月 12 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 幸一
主任格付アナリスト:増田 篤
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J C R のホームページ(http:/ / www. jcr. co. jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本 件 信 用 格 付の 付 与 にか か る方 法 の 概 要 は、 J C R の ホ ー ムペ ー ジ ( http:/ / www. jcr. co. jp) の 「 格 付 方針 等 」 に 、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」(2014 年 11 月 7 日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) シンガポール共和国 (Republic of Singapore)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J C R の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J C R が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が公表した経済・財政運営方針などに関する資料および説明
・ 経済・財政動向などに関し中立的な機関が公表した統計
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J C R は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
発行体または中立的な機関による対外公表という、当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情
報として利用した。
9. 非依頼格付について:
本件信用格付は格付関係者からの依頼に基づかない信用格付である。国に対する信用格付である場合を除き、依
頼に基づく格付と区別するため格付記号の後に「p」を表示している。格付関係者からは、信用評価に重要な影響を及
3/ 3
http://www.jcr.co.jp
10.J C R に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NR S R O 登録状況
J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則
17g-7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示はJ C Rのホームページの“ Rating Information” (http: / / www. jcr. co. jp/ english/ top_cont/ rat_info01. php) に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■ 本件に関するお問い合わせ先